月に囚われた男

恵比寿ガーデンシネマで観て来ました。
さて、月に囚われた男、SFミステリー物かと思いきや、ディストピアとロボットのお話でした。
基本的に月面基地と月の荒野のみで話は進み、他の登場人物は殆ど出て来ません。


以下ネタバレ。


お話は、月での3年の労働契約が残り2週間となった主人公サム・ベルとロボットである人工知能のガーティの二者で始まります。
序盤は淡々と描写されるのですが、事件が起こり――、ガーティの発言・行動に不審な点が見えて来るようになるのです。
何故、ガーティがその様な行動を取るのか、観る側は考えさせられるのですが、次第にこのガーティの行動原理がはっきりして来るのです。見えて来るそれは、アイザック・アシモフ「我はロボット」のロボット三原則を忠実に守ると言う物を置いて他に無いのです。
この人工知能の苦悩の描写が凄く美しく、ロボット三原則がここまで美しい話を織り成すのかと胸を打たれました。ガーティのインターフェイスはカメラとロボットアーム、そして取って付けたようなフェイスアイコンによるエモーションディスプレイという機械的なデザインしかされていないのに、その中身は本当に人間的なのも堪らなく良いのです。
ロボット三原則は偉大なり。

  • ガーティと聞いてKONAMIのゲームに出てくる人工知能ガウディを連想
  • 低予算っぽいが、そんなことは感じさせないぐらい惹き込まれる