マクロスF娘々スペシャルサービスメドレー(特盛り) 制作後記
個人的な忘備録です。動画を作ろうという人が参考になんかしないと信じて。
動画解説
取り敢えず、まぁ解説。
原作を見た人には見ただけで分かる話かもしれないのですけれども、動画を作るにあたって「マクロスF」のカット割をだいぶかなりの部分で引っ張って来ています。中には再構成を試みた部分もあるのですが、その中で分かりやすい部分などを取り上げてみます。
- 03:38 Tear Drop
どうしてなの? 涙溢れて止められない
と、シェリルが零す(様に見える)涙。自分の中ではミシェル追悼。誰かここで「ミシェルゥゥ」ってコメントを打ってあげて欲しいと思っていたり。- 04:25 Arrow Shoot Heart
ミシェル「今だ アルト!」
アルト達がライブのスタント、EX-ギアでのアクロバット飛行の最後に、煙幕でハートを描くシーンですね。
アルト「行っくぜぇー!」- 07:07 トラアングラーOP
わたし それともあの娘
第1話から第16話まで使われていたトライアングラーOPのワンカット。ただそのカットの本来の位置には既に予定が入っていたので、「君は誰とキスをする」の部分に繰り上げ。- 08:04 アナタノオト
アナタノオト ドクン ドクン ドクン
ランカパートの佳仙さんのイラストが1小節程早く出てくるのですが、あれは「アナタノオト〜♪」って歌っているんです。いいんです、自分の中では歌っているんです!
他にもですね、イラストの構図が似ているだけで合わせたとか、タイミングだけ使ってるとかそんなのがいろいろありますが、まぁ原作を思い出してくれたらいいなと、ありがたいなと思って作ってあります。*1
制作解説
概要
- 動画制作:NiVE
- 総アイテム数:57
- コンポジション:1
- カラーイメージ:1
- 画像素材:31
- 映像素材:23
- 音響素材:1
- 総トラック数:162
- 総アイテム数:57
- 字幕制作:Aegisub
- 字幕再生:VSFilter
- 字幕合成:AviSynth
- 動画圧縮:AviUtl
と言うことになっています。
アイテム数に比べてトラック数が3倍近いことになっているのは、NiVEの固有の問題で、重なり具合を変える為にトラック数を増やす必要があったり、1トラック内で複数の開始点/終了点を設定できないという仕様の為です。
イラスト
画像素材は絵師様がせっせと描いて下さったものですが、一番最初の予定では、
- デュオ3枚
- ソロ2枚
- デフォルメ1枚
で計6枚ということでした。
しかし、動画にすると言うこともあって、折角ならば動かしたい。そこで、先に完成していたデュオ3枚からそれぞれのキャラクターをアルファで抜いてもらって単体で戴ける様にして貰ったり、腕の部分を描き足して貰ったりして枚数は増えて行き、ソロが4枚になり、デフォルメが4種の2パターンと注文した1種の1パターンがと増えました。
- デュオ
- 肩合わせ 2
- 手を伸べ 2
- 熱唱 2
- 熱唱クロス 2
- ソロ
- キラッ☆ 1
- 鞭マイク 1
- Yes, I am! 1
- アイモ 1
- デフォルメ
- before 2
- after 4
- amazing 4
- singing 4
- kira&hard 4
- 背景
(名前は自分の中での俗称)
以上、計31枚。分割前換算で12枚のイラストで動画を組んでいます。
すおさん、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。
映像素材
映像素材ですが、こちらの「モリモリソザイ」様で配布されているものを利用させていただきました。ありがとうございました。
モリモリソザイ 様
これらの素材が「24bit RGB」か「32bit RGBA」の何れかによって、NiVEの方で読み込むときに「VFWInput」と「VFWInput(32bit ARGB Video Only)」を使い分けて読み込んで行くことになります。自分は間違わないように素材フォルダを分けていました。
NiVEでは、24bit RGBの動画素材に、 UnMultiple のエフェクトを追加して使用することになります。 32bit RGBA の動画素材では、透過されてはいるので問題がないのですが、中には半透明の部分が黒ずむことがあります。そういう時は 32bit RGBA の動画素材であっても、 UnMultiple を指定すると黒ずみが無くなります。ただ、場合によっては影や奥行き感が出るので、態と黒ずみを残したりしています。
字幕制作
Aegisub というソフトで ASS(Advanced SubStation Alpha)規格の字幕を作成しました。
本当であれば動画編集ソフト上でテキストの割付を行ってもいいのですが、NiVEでそれをやろうとすると煩雑であり、打ち込みにも修正にも時間がかかり過ぎると思い、字幕作成ソフトを利用することにしました。テキストでモーショングラフィックスなどをやるのであれば動画編集ソフト上でやるべきなのですが *2、今回は「歌詞の表示を」と言うことでしたので字幕ソフトを使いました。
Aegisub は、タイミングの設定を右手のマウスで、再生&決定を左手のキーボードでと、ショートカットキーの配置が使い易くとてもいい感じになっていて、覚えれば凄く楽に制作が出来るようになりますのでお薦めです。
字幕ですが、文字は大き目、少なくとも太さが 2px 以上になるようにするほうがいいかもしれません。細いと圧縮後にギザギザのジャギーが目立ってしまいました。後はブラー({\be1}タグ)を掛けると気持ち見栄えが良くなると思います。
制作環境
- NiVE(NicoVisualEffects) ver 1.85
フリーのモーショングラフィックスソフト。動画編集の要。- VFWInput(32bit ARGB Video Only) v1.1.1
32bit RGBA の動画を読み込む為のプラグイン。付属の VFWInput では 24bit RGB しか読めないので利用。 - TinySndPlay ver.1.0.2.0 (β)
音を前後数フレーム分再生することが出来るプラグイン。編集で音と合わせる為に必要。 - nicoAE.NVVInOut ver 1.02
付属の VFWOutput では2GB制限があるのでその回避に NVV形式 で入出力するプラグイン。
- VFWInput(32bit ARGB Video Only) v1.1.1
- AviUtl version0.99h2
動画に各種フィルタや圧縮を掛けることが出来るソフト。ここではMPEG4(H.264)で圧縮を行う。
☆参考:AviUtlを使ったMP4 (H.264) エンコード- nvvinput.aui ver 1.02
AviUtlでNVV形式を読み込む為のプラグイン。 - warpsharp 2008/03/25版 avsinp.aui
AviUtlでAviSynthスクリプトファイル(AVS)を利用する為のプラグイン。 - 拡張 x264 出力(GUI) x264.1171.release01
動画をMPEG4(H.264)で圧縮するエンコーダーとプラグイン。- Nero AAC Codec 1.3.3.0
音声をAACで圧縮するエンコーダー。拡張 x264 出力(GUI)内で指定する。
- Nero AAC Codec 1.3.3.0
- MP4Plugin_20090515
AviUtlでMP4形式の動画を扱う為のプラグイン。あれば便利かもしれないが必須ではない。
- nvvinput.aui ver 1.02
- Avisynth_258
スクリプトベースのノンリニア・ビデオ編集ソフトウェア。- warpsharp 2008/03/25版 LoadAviUtlInputPlugin
AviSynthからAviUtlのプラグインを利用する為のプラグイン。ここで使おうとしているのは、nvvinput.aui。
☆参考:AviSynth Wiki - LoadAviUtlInputPlugin - VSFilter_20081129
字幕再生プラグイン。
- warpsharp 2008/03/25版 LoadAviUtlInputPlugin
- Aegisub v2.1.6 RELEASE PREVIEW SVN r2494.
マルチプラットフォーム字幕タイミング・スタイリングソフトウェア。ASS規格の字幕を作成する為に使用。
- Flavie (Version 1.2.12.0)
FLV、MP4(H.264)、MOVファイルの動画の再生を行うソフト。出力した MP4(H.264) を確認する為に使用。
手順
流れ図
NiVE ←→ NiVE Project(nvp) ├VFWInput ←← 24bit RGB Video(avi) ├VFWInput(32bit ARGB) ←← 32bit ARGB Video(avi) ├ImageInput ←← Image(png) └NVVInOut →→ NiVE_Video(nvv) ↓↓ ┌ nvvinput.aui Aegisub ┌LoadAviUtlInputPlugin ↓↑ ├VSFilter ←← Advanced SubStation Alpha(ass) ├WavSource ←← Audio(wav) AviSynth AviUtl │ ├ avsinp.aui ←← Avisynth Script(avs) │ ┌Nero AAC Codec └ x264 →→ MPEG-4 AVC/H.264(mp4) ↓↓ Upload!!
こんな感じ。
一番時間がかかるのは、動画制作を除くと NiVE からの NVVファイル の出力でしょうか。ちゃんと計ってはいませんが、大体100フレームあたり1分掛かり、今回の場合は5〜6時間程掛かっていたかと思います。容量も GBサイズ と大きいので気を付けて下さい。
NiVEからの出力形式は、NVV以外に、huffyuv出力 や NiVEのAviUtl出力プラグイン経由 で AVI2.0出力 を考えたのですが、 huffyuv では2GB制限に引っかかり、AviUtl出力プラグイン では内部的に大量の中間出力が作られるとのことで、NVVの場合以上に大容量が必要となるので現実的ではありませんでした。
AVS(Avisynth Script)
途中で必要となる AVS ですが、これは自分で書く必要があります。自分はこういう感じに書いて使っています。
#LoadPlugin("C:\Program Files\AviSynth 2.5\plugins\warpsharp.dll")
LoadAviUtlInputPlugin("C:\Program Files\AviUtl\Plugins\nvvinput.aui", "NVVInput")
video = NVVInput("C:\project\video\MacrossF.nvv")
audio = WavSource("C:\project\sound\MacrossF.wav")
AudioDub(video, audio)
textsub("C:\project\lyrics\MacrossF.ass")
return last
LoadAviUtlInputPlugin を利用するために warpsharp.dll をロードをする必要があるのですが、プラグインフォルダに入れてあるので1行目はコメントアウトしてあります。
エンコード
圧縮エンコードですが、
を読みながらやれば難しくはないかと。
「NicoNico:超画質(超低速)」を選んでいくつか設定するだけで問題ありません。
今回の場合はこんな感じに。自分のマシンのスペックとこの動画では1時間50分弱程で終わりました。
完成
ここではSMILEVIDEOでの、アップロード時の再エンコードを回避する条件に収めてあります。
後はアップロードするだけ。
役に立ったもの
後記
お話を受けたのが3月の末。それからフォント選んだり歌詞を打ったり、台本を書いて構想をまとめ、動画制作に着手したのが4月。音声ファイルを5月に受け取れたので、タイミング合わせ開始。動画制作を進めるものの進まず、進まず、進まず、UnMultiple という便利エフェクトが出て飛び付き大改装。さて、ここらで出力して見ようと思うも、恐怖のファイル破損の6月。どうにかこうにか再構成して7月5日ちょうちょさん留学への出発日でのアップ。いろいろ同時に抱えてしまって時間が掛かってしまい、遅くなったのが申し訳ありません。あとNiVEの重さと、自前マシンの映像周りの非力さに悩まされてました。
久々に産みの苦しみと言うものを味わいました。orz *3
映像編集の経験があるっていっても、所詮リニア編集機でのことだったし、やれることと言えば Flash の延長でしかできないし、その点 NiVE はキーフレーム操作と言う点で似ててとっつきは良かったかな。逆に Flash でやったらどうかなんて考えたけれど、自分は ActionScript を書いて動かす方だったので、ニコニコではNGだったはず。NiVE も C#ベース の エクスプレッション があるし、使えばどうとでもなったのかなぁ。
というかですね、制作しながら自分でどんどんハードルを上げて行って、それに喘ぐとか、どんだけマゾなんでしょう。
それに「ちょうちょさん」と「佳仙さん」と言う二大歌姫(自分の中で)の動画ですから、観る人は多くなる訳でアワワアワワしながら作ってました。制作中は、おふたりの歌声を聴き続ける事になるのですが、これがカンフル剤の様に働いて疲れが飛んで突っ走ってしまうので結構アブナイ、色んな意味でアブナイ状態でした。
しかしながら、自分が関わった作品を観るのって何でこんなに恥ずかしいんでしょうね。自分の性格とか趣味趣向とかただ漏れている様で。自分の至らない点も観れば観るほど出てくるし。
兎にも角にも、素晴らしい歌声を披露していらっしゃる「ちょうちょさん」に「佳仙さん」、歌声の良さを引き出すMixを担当された「あさまるさん」、素敵な絵を描いて下さった「すおさん」、「各種ソフト製作者様」、「素材提供者様」、動画制作の傍らで「応援して下さった皆様」、そして「観てくれた全ての人」に感謝を。